ストレッチとは
ストレッチとは意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されています。かつては柔軟体操とも呼ばれていました。ヨガやピラティスもこの運動の範疇に含まれます。
柔軟性は体の柔らかさを表す体力の一要素です。最近では美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。
柔軟性は他の体力要素と違った特徴を有しています。それはほぼ全ての世代にわたって男性よりも女性の方が優れているという点です。
ストレッチにより柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと筋や靱帯の弾性要素が組織科学的変化を起こすことが要因です。また、ストレッチは2-3メッツの強度がありますので筋温や体温を高める効果があります。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しているのです。
最近ではこれらの効果に加えてリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ(α)波を増加させ、心拍変動を増加させ心拍数を低下させること、すなわち自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化させることが明らかとなっています。
生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的か否かについてエビデンスが十分とは言えませんが、習慣的なヨガの実施が血圧を低下させること、あるいは座位体前屈で評価される柔軟性が高い人では動脈硬化度が低いことなどが報告されています。これらはストレッチのリラクゼーション効果が関与しているのかもしれません。
ストレッチの目的
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、怪我の予防やリハビリ・疲労回復のための運動です。筋肉や関節などの疾患の治療やリハビリに利用されます。また、仕事で同じ姿勢を取り続けていることが多い現代人には、緊張したままの筋肉を緩めることによるストレス解消効果が注目されています。
ストレッチの5原則
走ったり筋トレしたりは辛くていやだけど、ストレッチングなら家で楽しくできるからやってみたいという人も多いのではないでしょうか?正しい方法で始めてみることで、いろいろな体の変化に気がつくことと思います。
ストレッチを実施する際に注意すべき原則は5つあります。
- 時間を20秒以上かけて伸ばすこと。最初の5-10秒程度は適度な伸展度合いに定めるための「ムダな時間」だからです。
- 伸ばす部位を意識すること。
- 痛くなく気持ちよい程度に伸ばすこと。痛いほど伸ばすと伸張反射が働き、かえって筋が硬直するので効果が低下します
- 呼吸を止めないこと。
腹部を圧迫するような種目では呼吸が止まりがちでそのために血圧の上昇が起こる場合がありますし、ゆっくりと深い呼吸は緊張を和らげる効果があるからです。 - 部位を適切に選択すること。
全身のストレッチングをくまなく行うためには何時間も必要です。目的に応じて適切な種目や部位を選ばないと非効率だからです。
ストレッチの実施方法
ストレッチは実施方法によって4つに分類することが出来ます。
関節の動きの有無により静的(スタティック)か動的(ダイナミック)かに分かれ、一人(セルフ)で行うか二人組(パートナー)で行うかによっても分かれます。
健康づくりの現場では安全第一で、傷害のリスクが少ないスタティックストレッチングが用いられることが多いようです。柔軟性の向上の効果に関してはスタティックストレッチングがダイナミックストレッチングに劣ることはないことがわかっています。
ストレッチは高い技術を求められるため、安全に実施するという観点からまずは、専門のパーソナルストレッチを受けてからセルフストレッチを行うのがお勧めです。
健康づくりの運動として単独で行うというより、有酸素性運動や筋トレなどと併せて実施するとより良い効果が期待できるでしょう。
当院のパーソナルストレッチ
まず初めに各関節を動かして関節リラクゼーションを行います。各関節周辺の筋肉を、他動・自動的に繰り返し動かすことで、筋肉内の血行が促進され機能維持につながります。関節が動くほど、関節可動域が無理なく広がり、さらなる血行促進や筋力増強が図られ、症状の緩和につながります。
関節リラクゼーションを行った後、その方に合わせたストレッチを無理なく行っていきます。
アフターフォローとして、家で行うセルフストレッチをご提案させていただきます。
当院と情報を共有しながら、ご自分の携帯電話で動きを確認して行っていただきます。ストレッチを毎日の生活に取り入れ習慣化することで、再発予防や柔軟性の維持を目指します。